ここでは、刑事事件と行政事件との違いについて見てみましょう。
刑事事件は、あなた(被疑者・被告人)の行なった行為が犯罪となるかどうか、また犯罪になるとすればどのような刑罰が科されるかが問題となる事件です。
捜査機関が捜査を遂げ、検察官があなたを訴追し、あなたは裁判所において弁護人の弁護を受けながら、犯罪の成否と量刑とを争うことになります。
他方、行政事件は、行政庁が行なった特定の行政行為について効力の有無・範囲を争うこと、あるいはあなたと国や地方公共団体との間で一定の公法上の関係の有無・範囲を争う事件です。
あなたと国との間の公法上の権利または法律関係の有無が問題となる場合だけでなく、特定の行政行為について効力の有無・範囲まで問題となる点が特徴です。
行政事件は、刑事訴訟においても犯罪の成否に関する前提として問題となることはありますが、多くは民事訴訟において現れます。
民事訴訟において行政事件が現れる場合には、損害賠償請求訴訟や権利関係の確認訴訟における前提問題の形をとることが少なくありません。
さらに、特定の行政行為の効力の有無を直接に争ったり、あるいは公法上の法律関係の確認を求めたりする時には、行政事件訴訟にも該当します。