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私たちの弁護士事務所に相談すれば、ご相談者の事件における保釈金の相場について知ることができます。「保釈金の金額について知りたい。」「保釈金制度の意味について知りたい。」という方は、お気軽にご相談ください。
保釈金の相場は?
保釈金の金額には、相場があります。
保釈金にはおおよその相場があります。「こういうタイプのこういう事件では、およそ××万円」というように、だいたいの相場が決まっています。「保釈金をいくら準備したらよいか分からない。」「保釈金の目安はどれくらいだろう。」と心配な方は、下に記した「色々な事件における保釈金の金額」をご参考ください。
保釈金はどうやって決まる?
保釈金の決め方は、判断する裁判官に委ねられています。
保釈金は、起訴された事件の内容や、被告人の属性を総合的に検討し、裁判官の裁量で決定されます。特に、事件の内容がもっとも重要な決定要素になってきます。今回起訴された事件の内容それ自体に、捜査に対する協力や裁判の進行具合、被告人の属性などが加味されて、総合考慮の上で決定される、といった感じです。
被告人がお金持ちだから直ちに保釈金が高くなるわけでも、被告人が無職だから直ちに保釈金が安くなるわけでもありません。被告人の年収や資産も考慮されますが、保釈金の値段や計算に決定的な影響を与えるものではありません。
また、被告人に前科があるから直ちに保釈金が高くなるというわけでもありません。前科それ自体は、あまり重要な基準ではありません。
「なぜ××万円になるのか」という保釈金の額が決まる仕組みは、もっぱら裁判官の裁量によります。裁判所の運用や慣行、裁判官個人の経験によるところが大きいです。
歴代の刑事事件での保釈金ランキングは、インターネットで検索すれば色々と情報が出てきます。圧倒的に財産犯、経済事件が多いです。
色々な事件における保釈金の金額
性犯罪の保釈金の金額
条例違反の痴漢や盗撮は、略式罰金の手続きで終わることが多いので、あまり保釈金のことを考える必要はありません。仮に刑事裁判になったとしても、執行猶予が見込まれる事件では、保釈金は150万円程度で済むと思われます。
電車の中の痴漢でも、強制わいせつ事件の場合は、起訴されれば刑事裁判になるため、保釈金のことを考える必要があります。保釈金は200万円前後のことが多いです。
強姦事件の刑事裁判では、その後に実刑が見込まれる可能性が高いです。300万円前後は用意しておいた方がよいと思われます。
薬物事件の保釈金の金額
薬物事件では、単純な使用または所持の案件であれば、保釈金は150万円前後で済むことが多いです。大麻より覚せい剤の方が高くなる傾向があります。
覚せい剤事件だと、単純な使用事件でも、保釈金200万円の場合があります。
複数の薬物事件で逮捕・勾留・起訴されている場合は、その分、保釈金の負担も重たくなります。300万円から500万円程度の保釈金が求められるケースもあります。
財産事件、経済事件の保釈金の金額
窃盗罪の保釈金は150万円前後のことが多いです。もちろん、罪名は同じでも、事件の内容や規模、被告人の属性が異なれば、保釈金の金額も異なります。万引きや下着泥棒など単純な窃盗事件では、それほど高額になることはありません。
詐欺事件の保釈金は様々です。規模が小さい単発の詐欺事件であれば、150万円程度で済むこともあります。ただ、振り込め詐欺やオレオレ詐欺など、組織的な詐欺事件では、たとえ保釈が認められても、保釈金は500万円前後と高額になることがあります。
さらに、世間を騒がす億単位の詐欺事件や業務上横領事件では、保釈金の額が1000万円を超えることも珍しくありません。
交通事故の保釈金の金額
死亡事故の保釈金は200万円前後です。死亡事故にひき逃げや飲酒運転などの罪が加わった場合は300万円前後に上がります。危険運転致傷罪の保釈金も、通常の交通事故の場合と比べて高額になります。300万前後のことが多い印象です。
無免許運転やスピード違反など、比較的軽微な事件では、保釈金も150万円程度のことが多いです。
保釈金の納付方法は?
保釈金は誰が支払うの?
通常、保釈は弁護士が請求します。本人や一定の親族も請求することができますが、最近は国選弁護の制度も充実しているため、弁護士が請求することがほとんどです。その場合、裁判所に保釈金を入れに行くのは弁護士(又は弁護士事務所のスタッフ)です。
保釈金は、本人または家族が準備することが多いです。
自分では保釈金が用意できない、または家族からの支援が期待できない場合は、友人や同僚から借りたお金を保釈金として使っても問題ありません。保釈支援協会等の機関から借りるケースもあります。
保釈金の融資を受ける場合は、借入先が信用できるか、手数料(立替の金利、利子)はいくら程度かなど、しっかりと検討することが大切です。
なお、控訴審の保釈金には、第一審時に納入した保釈金をそのまま流用できます。足りない部分についてのみ、新たに納入すれば足ります。
保釈金はどこに支払うの?
保釈金は保釈を決定した裁判所に支払います。警察や検察庁に支払うわけではありません。裁判が終わるまで、裁判所に預け入れるイメージです。
裁判所からは領収証的な書類が発行されます。これを「保管金受領証書」といいます。
保釈金はいつ払うの?
保釈金は、保釈決定後であれば、いつ支払っても構いません。保釈の手続き上は、特に期限はありません。保釈金を納付すれば、被告人は釈放されますし、保釈金を納付しなければ、保釈許可決定後もそのまま勾留が続きます。
土日は裁判所の担当部署が休みのため、保釈金を支払うことはできません。
保釈金はどうやって支払うの?
保釈金を納める方法や保釈金の納め方についての解説です。保釈金の納付方法はどのようになっているのでしょうか?
保釈金は弁護士が「現金で」支払うことがほとんどです。この保釈金の支払方法に関しては、長年、大きな変化はありません。クレジットカードなどは使うことができません。
弁護士本人か、弁護士が所属する法律事務所の事務員・パラリーガルが裁判所まで現金で持参することがほとんどです。
保釈金が払えない場合は?
自分で保釈金が払えない場合は、家族や友人、保釈金支援協会などの機関を使って、保釈金を用意する必要があります。保釈金を借りる際は、後日トラブルにならないように、借用書を作成するなど注意しましょう。
保釈金協会や保釈金の立替業者は、日本全国に複数社あります。よく比較検討して選びましょう。保釈金の貸付けを受ける際は、後でトラブルにならないように注意しましょう。借入れした金額には、利子や手数料が付くのが通常です。保釈金保証協会によって利率はさまざまです。
銀行は保釈金を貸してくれないところが多いようです。後は、個人と銀行との信用関係によってくると思います。
保釈金は、その全額を納入してはじめて「釈放」という効果を得ることができるため、分割払いは意味がありません。
保釈金の返還
保釈金の「返金」
裁判所に納めた保釈金は、判決が出て刑事裁判が終われば、全額返却されます。逃亡や証拠隠滅など、保釈の条件に違反するようなことをしていなければ、保釈金の全額が返却されます。
判決がたとえ有罪判決でも、執行猶予付き判決・実刑判決を問わず、保釈金は全額返金されます。もちろん、無罪判決の場合も戻ってきます。
保釈金の還付は、振り込め詐欺の手口としても使われるため、注意しましょう。
保釈金はいつ返ってくるの?
保釈金の返還の時期は、判決が出てから数日後です。判決が確定する前に返却されます。
弁護士が保釈を請求した場合は、裁判所からその弁護士の銀行口座に振り込まれることで返金されます。したがって、保釈金を出した人は、裁判所からではなく、弁護士から保釈金を受け取ることになります。
裁判所から保釈金の返金を受けた弁護士から、保釈金を出した人にどうやってお金を返還するか、その方法について特に決まりはありません。それぞれの弁護士に、返還の手続きについて尋ねてみてください。
私選弁護士の場合は、返金された保釈金と弁護士費用を相殺するのが一般的です。もちろん、相殺後に残額が生じた場合は、弁護士からその部分の返金を受けることができます。
保釈金の「没取」
保釈決定の条件に違反した場合は、保釈金が没収される可能性があります。これを保釈金の「没取」といいます。
保釈決定の条件に違反した場合は、最悪、保釈金が全て没収されるだけで、新たに罰金が加えられることはありません(もちろん、保釈条件の違反が新たな犯罪を構成する場合はこの限りではありません。刑事裁判を経て、罰金になるケースがあります。)。