目次
- Q 電車の中で痴漢をした場合、どうような犯罪に該当しますか?
- Q 条例違反と強制わいせつ罪とでは、刑罰の重さはどの程度違うのですか?
- Q 条例違反と強制わいせつ罪の実際の刑罰はどの程度になるのですか?
- Q 痴漢をして捕まると、必ず刑罰を受けてしまうことになるのですか?
- Q 示談のために弁護士をつける意味はあるのですか?
- Q 示談金はいくら必要なのですか?
- Q 示談できないと、前科がついてしまうのですか?
- Q 痴漢で捕まると、職場にはバレてしまうのですか?
- Q 痴漢が見つかってしまいました。報道されてしまうのでしょうか。
- Q インターネットで事件や名前が公開されることを防げませんか?
- Q 痴漢で逮捕されてしまいました。一日も早く釈放してもらえませんか?
- Q 痴漢で勾留され、そのまま起訴されてしまいました。釈放は可能ですか?
- Q 痴漢現場から逃げて帰ってきました。後日逮捕されることはありますか?
- Q 痴漢の冤罪で逮捕されました。私は有罪になってしまうのでしょうか?
Q 電車の中で痴漢をした場合、どうような犯罪に該当しますか?
痴漢は、各都道府県の迷惑防止条例(例えば、大阪府の場合だと、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)違反(6条1号)または刑法上の強制わいせつ罪(刑法176条)に該当します。
強制わいせつ罪は、下着の中に直接手を入れる等、より程度の重い痴漢行為を対象とするものです。他にも、無理矢理抱きついて強引にキスをする、執拗に胸を揉む、といった痴漢行為の場合、強制わいせつ罪に該当する可能性が高くなります。
衣服の上から臀部を触るという一般的な類型の痴漢行為は、より罪が軽い迷惑防止条例違反に該当します。
Q 条例違反と強制わいせつ罪とでは、刑罰の重さはどの程度違うのですか?
法律に定められた刑罰の内容を法定刑と言いますが、大阪府の迷惑防止条例違反の場合、法定刑は6月以下の懲役または50万円以下の罰金(16条1項2号)とされています。なお、常習性が認められる場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります(同条2項)。
一方、強制わいせつ罪の場合、法定刑は6月以上10年以下の懲役とされています。強制わいせつ罪には罰金刑が規定されていないため、起訴されると、必ず公開の法廷で正式裁判を受けなければなりません。
この点、迷惑防止条例違反では、初犯ならばほとんどの場合、罰金刑となり、正式裁判を受けずに済みます。初犯では、示談が成立しなければ、罰金30万円程度を支払って終わりになるケースが多いです。
Q 条例違反と強制わいせつ罪の実際の刑罰はどの程度になるのですか?
裁判で言い渡される刑罰の内容・程度を量刑といいます。量刑は事案により異なる場合もありますが、迷惑防止条例違反の場合、初犯であれば罰金30万円程度で、略式手続という簡易な手続で終了することがほとんどです。
もっとも、略式手続で罰金になった場合でも、痴漢の前科が付いてしまいます。痴漢の前科を付けないでスムーズな社会復帰を果たすためには、被害者の方との示談が非常に重要になってきます。
一方、強制わいせつ罪の場合は、概ね懲役2年以下で、事案によっては、執行猶予がついて刑務所に入らなくて済むことも多くあります。起訴され、刑事裁判を受けることになっても、被害者の方と示談が成立していれば、まず刑務所に収監されないで済むので、やはり被害者の方との話し合いは重要です。
Q 痴漢をして捕まると、必ず刑罰を受けてしまうことになるのですか?
捕まったからといって必ずしも刑罰を受けるわけではありません。痴漢などの性犯罪の場合、被害者対応の有無が非常に重視されます。
したがって、示談によって事件に関する当事者間の紛争を清算し、被害者の許し(宥恕)を得る、被害届や告訴状を取り下げてもらうなどの活動を行うことで、不起訴になり、刑罰を受けずに済む可能性が飛躍的に上がります。
Q 示談のために弁護士をつける意味はあるのですか?
痴漢の場合、加害者側が被害者の方の連絡先を知らないケースが多いですが、加害者に対して連絡先を伝えたくないという被害者の方は少なくありません。しかし、弁護士がつけば、弁護士には守秘義務がありますから、弁護士に限って連絡先を伝えることを了承してもらえる場合があります。
また、被害者の方から許しを得ることや適切な金額や条項での示談を成立させることも、弁護士をつける方がはるかに実現しやすいと言えるでしょう。
Q 示談金はいくら必要なのですか?
事件の内容や加害者の立場・資力、被害感情など様々な要素を踏まえて合意されるものですから、一概には言えませんが、迷惑防止条例違反の場合、30万円程度になることが多いようです。
強制わいせつ事件の場合、行為が重大であることから示談金もやや高額になるのが一般的で、事件によっては100万円を超えることもあります。もっとも、50万円以内で示談が成立するケースも少なくありません。
いずれの場合も、弁護士が付いて説明や説得を行うことで、金額の交渉を行うことは可能です。
Q 示談できないと、前科がついてしまうのですか?
前科は、法律上の定義があるわけではありませんが、一般に有罪判決の言渡しを受けた事実をいい、略式手続による罰金刑の言渡しもこれに含まれます。痴漢事件で前科を防ぐには、示談ができるに越したことはありませんが、もしできなかったとしても、不起訴になって前科を回避できる場合はあります。
例えば、示談が未成立でも被害者が処罰を望まないことなどは、不起訴になる可能性を高める事情と言えるでしょう。
Q 痴漢で捕まると、職場にはバレてしまうのですか?
痴漢で逮捕されたとしても、職場と密接な関係のあるケースでない限り、直ちに捜査機関から職場に情報が伝わるということは通常ありません。もっとも、身体の拘束が長くなってしまうと、欠勤が続く説得的な理由を職場に説明するのも困難になってしまうと思われます。
そこで、情報が漏れないように配慮しながら早期の釈放を図る必要があります。弁護士に依頼して適切・迅速な手続を取ってもらうことができれば、職場に事件が発覚することなく社会復帰することは十分可能です。
Q 痴漢が見つかってしまいました。報道されてしまうのでしょうか。
痴漢事件が報道される場合、逮捕当日に警察から報道機関に情報がFAXされ、それを基に翌日報道されるケースが多いようです。もっとも、事件の内容や被疑者の立場などの諸要素から、事件を報道するかが判断されるため、必ずしも報道されるわけではありません。
事件全体の数からすれば、報道されるものはわずかです。逮捕翌日に報道がなければ、報道の可能性はかなり低いと言えるでしょう。
また、在宅事件の場合は、逮捕されないよう警察に交渉したり、意見書を出したりすることによって、逮捕自体を防ぐ活動が可能ですし、逮捕前に示談を成立させることができれば、トラブルそのものの解決が可能です。
Q インターネットで事件や名前が公開されることを防げませんか?
インターネット上の書き込みそのものを止めることは難しいかもしれませんが、痴漢行為が事件化する前に被害者の方と示談を成立させ、秘密の保持を約束してもらうことができれば、インターネットを含めた事件情報の漏えいを防ぐことができます。
もし警察や検察が関わる事件になったとしても、情報を漏らさないよう捜査機関と交渉することで、事件関係者以外に情報が漏れることを防げるでしょう。
また、実際に書き込みなどがされていた場合には、管理者に削除を依頼することで被害を最小限に抑える活動が可能です。
Q 痴漢で逮捕されてしまいました。一日も早く釈放してもらえませんか?
逮捕されると、通常翌日か翌々日に検察に連れて行かれ、逮捕から3日以内に、釈放するか、勾留を請求して身体拘束を続けるか判断されます。そこで、勾留を阻止する弁護活動によって、釈放を実現することが考えられます。
具体的には、弁護士が被疑者側に有利な事情を整理し、検察官や裁判官に勾留しないよう求める意見書を提出することになります。
もし勾留決定されたとしても、罪証隠滅や逃亡の恐れがないような場合は、準抗告という不服申立ての手続でその取消しを求めることにより、早期釈放を求めることができます。さらに、勾留決定自体が適法でも、その後に示談が成立したような場合には、勾留の取消しによって釈放を求めることができます。
Q 痴漢で勾留され、そのまま起訴されてしまいました。釈放は可能ですか?
起訴された後は、保釈によって釈放を実現することができます。保釈の請求が認められると、保釈保証金(いわゆる保釈金)の納付を条件に勾留が解かれることとなります。
保釈中は、留置場から自宅に帰ることができ、保釈の条件に違反しない限り、通常の日常生活を送ることが可能です。職場や学校にも、今までどおりに通うことができます。電話やインターネットも、友達とのメッセージのやり取りも、保釈の条件に違反しない限りは自由です。
強制わいせつ事件の場合、保釈金は200万円程度であることが多いですが、逃亡などの理由で没取(ぼっしゅ)されない限り、納付した保釈金は事件後に全額返還されます。通常、経済的な損失が生じる手続ではありませんから、弁護士に依頼をして、速やかに保釈の請求を行ってもらうことをお勧めします。
Q 痴漢現場から逃げて帰ってきました。後日逮捕されることはありますか?
実際に痴漢を行い、被害者や目撃者がいる中を逃走し、逃げ帰ってきた以上、後日逮捕される可能性がないとは言えません。ご相談者は現行犯逮捕されず帰宅されていますので、逮捕の方法は逮捕状を用いた通常逮捕に限られます。
通常逮捕には、ご相談者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由が必要ですから、目撃証言や防犯カメラの映像といった証拠からご相談者の痴漢行為に対する相当の疑いが生じた場合に、ご相談者に対する通常逮捕の可能性が生じることとなります。
この点、弁護士を立てて対応すれば、後日逮捕を無事に回避し、捜査機関に謝罪と反省を申し入れることで、穏便に示談交渉を進めることができるケースも少なくありません。
後日逮捕されるのではないかと不安な方は、弊所の24時間フリーダイヤル 0120-631-276までお電話ください。弁護士が事件の状況を冷静に分析することで、逮捕のご不安を解消できるケースも多いです。
Q 痴漢の冤罪で逮捕されました。私は有罪になってしまうのでしょうか?
罪を犯していないご相談者が有罪になることは決して許されるものではありません。刑事裁判は現状99%以上が有罪になりますが、裏を返せば、有罪の立証ができないと判断された事件は不起訴になるわけです。
そこで、有罪判決を回避するためには、弁護活動としては、まずは不起訴を目指すことになります。実際に、十分な証拠がないため起訴されず釈放になる痴漢事件は少なくありません。
ご相談者が無実である以上、十分な証拠はないはずですから、取調べに対する黙秘権の行使や、真意でない供述調書に対する署名押印の拒否などをし、加えて無実を裏付ける証拠を収集・提出することで、有罪の立証が不可能であることを明らかにしていくことになります。
また、仮に事件が起訴されてしまっても、無罪判決を獲得することは可能です。実際、弊所で取り扱った電車内の痴漢事件でも、被害者側の供述を争った結果、無事に無罪判決を獲得し、ご依頼者の無実の罪を晴らしたケースがあります。