ここでは、名誉毀損罪がどのような犯罪(刑事事件)なのかについて、見てみましょう。
名誉毀損罪は、名誉すなわち社会が与える評価としての名誉を保護法益としています。
名誉毀損罪の成立要件は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損することです。
「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態をいいます。
摘示される事実は、人の社会的評価を害するのに足りるものである必要がありますが、悪事や醜行に限られません。つまり、対照とされた相手方がどのような名誉を有するかによって、社会的評価を害する事実もまた変わるのです。
なお、名誉毀損罪と侮辱罪との違いは、名誉毀損罪が事実の摘示によって人の社会的評価を害するのに対して、侮辱罪が事実でない侮辱的言辞によって人の社会的評価を害するという点にあります。