ここでは、自動車の物損事故も刑事事件になるかについて見てみましょう。
基本的に、物損事故それ自体は刑事事件になりません。
まず、刑法や自動車運転死傷行為処罰法は、自動車の運転によって人を死傷させた場合になって初めて、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪として処罰するものとしています。
ただ、最初から他人の所有する物を壊す目的で自動車をぶつけて損壊したときは、器物損壊罪が成立する可能性があります。
次に、道路交通法は、物損事故それ自体について処罰規定を置いていません。
同法では、物損事故自体は行政処分として減点の対象となることはあっても、刑事処罰の対象とはされていないのです。
ただし、物損事故を起こした後、警察に報告する義務や道路上記危険防止の措置を講じる義務を怠ったときは、当て逃げ罪が成立します。
つまり、物損事故のその後の当て逃げについては、刑事事件となるのです。