[質問]
夫が電車内で痴漢をして逮捕されました。国選の弁護士を付けてもらうことはできますか?
[回答]
刑事事件で逮捕された人は、起訴されるまでの間、被疑者と呼ばれますが、この被疑者に対し、国が選んだ弁護士を付ける被疑者国選の制度があります。この被疑者国選は、一定の重大事件を対象とした制度であり、対象事件は「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」です。
痴漢事件は、大きく強制わいせつ事件と各都道府県の迷惑防止条例違反事件に分かれます。ご相談者の事件が強制わいせつ事件である場合、その法定刑の上限は10年の懲役ですので、被疑者国選の対象となります。しかし、迷惑防止条例違反事件である場合、法定刑の上限は一般に6ヶ月の懲役で、3年を超えるものではありませんから、被疑者国選の対象になりません。
なお、対象事件であっても、その事件について勾留状が発せられていなければ、被疑者国選の対象にはなりません。ご相談者の件に国選の弁護士が付くのは、強制わいせつ事件について勾留状が発せられた場合ということになります。