目次
- Q 児童買春とは何ですか?どんな刑罰になりますか?
- Q 児童買春と淫行は違うのですか?淫行はどんな罪になりますか?
- Q 児童買春と売春との違いは何ですか? 売春は罪になりますか?
- Q 結婚を前提に付き合っている18歳未満の子と関係を持っても犯罪ですか?
- Q 児童買春で捕まると、刑務所に入ることになってしまうのでしょうか?
- Q 18歳未満であることを知らずに児童買春をしました。犯罪ですか?
- Q 児童買春の仲介の際、その子が18歳未満だとは知らなかった場合は?
- Q お金を払って関係を持った相手が18歳以上だった場合も犯罪ですか?
- Q 児童買春が発覚すれば、逮捕されてしまいますか?釈放は可能ですか?
- Q 児童買春では示談をするべきなのでしょうか?
- Q 児童買春事件の示談金はどのくらい必要ですか?
Q 児童買春とは何ですか?どんな刑罰になりますか?
児童買春とは、18歳未満の人に対して、対価を渡す代わりに性交をしたり性器を触ったりすることを言います。
児童買春は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(よく児ポ法と呼ばれるものです)で禁止され、刑罰の対象になっています。児童買春をした場合、5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます(4条、2条2項)。
Q 児童買春と淫行は違うのですか?淫行はどんな罪になりますか?
児童買春と淫行はともに、18歳未満の人を相手に性的行為に及ぶものですが、同じものではありません。淫行の場合、18歳未満の人に対価を渡すことは要件になりません。18歳未満の人を相手に性行為やそれに類似する行為をすれば、それだけで淫行に該当する可能性があります。
淫行は、各都道府県の青少年保護育成条例で刑罰の対象にされており、例えば大阪府では2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
Q 児童買春と売春との違いは何ですか? 売春は罪になりますか?
売春防止法では、売春をすることやその相手方になることが禁止されています(3条)。この売春は、対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいいます(2条)。
児童買春とは対価のやり取りがある点で共通しますが、①売春は対価を受け取る側の行為を指し、対価を渡す側の行為を指す児童買春とはその主体が異なります。また、②売春する人は18歳未満である必要がありません。
加えて、③性交をしなければ売春には当たらないため、性器に触れる行為に留まる場合は、児童買春に当たることはあっても売春にはなり得ません。
なお、売春防止法は人に売春させることなどを犯罪としていますが、売春行為自体は罪になりません。
Q 結婚を前提に付き合っている18歳未満の子と関係を持っても犯罪ですか?
18歳未満の人と対価なく関係を持った場合には、各都道府県の青少年保護育成条例で禁止される「淫行」に当たるかが問題となります。
「淫行」の定義について判例では、青少年の心身の未成熟に乗じて不当な手段で行う性行為や、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為をいうものとされています。
家族公認の上で結婚を前提に真剣交際しているような相手との性行為は「淫行」に当たらないと考えられますので、刑罰の対象になる行為ではありません。
なお、大阪の青少年健全育成条例では、「専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させ」て関係を持たなければ処罰の対象にならないため、「淫行」に当たるケースはより少なくなります。
Q 児童買春で捕まると、刑務所に入ることになってしまうのでしょうか?
児童買春で捕まったとしても、初犯の一般的な児童買春の場合、刑務所に入ることはあまりありません。
まず、児童買春行為があったとしても、検察官の裁量で起訴されなければ裁判手続が行われないので、刑務所に入ることはありません。この場合を起訴猶予と言います。起訴猶予の場合は、前科が付くこともないので、その後の社会復帰が円滑に進むことが期待できます。
また、起訴されるケースであっても、略式手続という簡易な手続で罰金刑に終わることが多く、この場合も刑務所に入ることはありません。罰金額は50~100万円程度になることが多いです。
なお、略式手続では正式裁判が行われないので、裁判が公開されたり、証言台の前に立って尋問を受けたりすることはありません。
Q 18歳未満であることを知らずに児童買春をしました。犯罪ですか?
児ポ法には児童買春を過失で行った場合に関する処罰規定がないので、相手が18歳未満であることを知らずに関係を持った場合は、児童買春の罪は成立しません。犯罪の故意がないからです。
ただし、各都道府県の青少年保護育成条例で、相手が18歳未満であると知らずにお金を渡して性行為したことにつき過失がある場合の処罰規定が設けられている場合があります。例えば、大阪府の青少年健全育成条例にはその旨の規定があるため、刑罰の対象になります(34条、47条、52条)。
Q 児童買春の仲介の際、その子が18歳未満だとは知らなかった場合は?
児童買春しようとする人と児童との間で仲介する行為を周旋といいます。そして、児童を使用する者が周旋した場合、児童の年齢を知らなかったとしても過失がある限り児童買春周旋の罪(児ポ法5条)が成立します。罪を免れることはできません(同9条)。
そのため、ご相談の行為には児童買春周旋が成立することになるでしょう。なお、18歳以上の人の性交を仲介した場合もであっても、売春の周旋(売春防止法6条)に当たるため犯罪に該当することは免れられません。
Q お金を払って関係を持った相手が18歳以上だった場合も犯罪ですか?
児童買春は、関係を持った相手が18歳未満である場合を指すので、相手が18歳以上であれば児童買春には当たりません。
また、売春防止法は売春(対価を受けて不特定の相手方と性交すること)の相手方になる行為を禁じていますが(3条)、同法に売春の相手方になった場合の罰則規定は設けられていません。
したがって、相手が18歳以上である場合、違法ではあるが犯罪にはならないということになります。
Q 児童買春が発覚すれば、逮捕されてしまいますか?釈放は可能ですか?
ご自身が所持している児童ポルノや相手の児童による情報提供などを契機に、児童買春が捜査機関に発覚することがあります。
児童買春事件の場合は、自宅で生活しながら警察の呼び出しに応じる形で捜査が行われることは少なく、逮捕・勾留という身体拘束手続を行った上で捜査されることがほとんどです。
逮捕は3日間、勾留は原則10日間、延長10日間で最長20日間行われるため、逮捕されると最長23日間身体拘束されることになります。
もっとも、初犯で児童買春を認めており児童との示談も成立しているような場合では、勾留が10日で終了するなど、身体拘束期間が短くなる可能性があります。
また、児童買春が発覚しても、逮捕される前に示談が成立し、児童のご両親が刑事事件化を望まないことを明示した場合などでは、逮捕そのものを回避できる可能性が高まります。
Q 児童買春では示談をするべきなのでしょうか?
児童買春の罪は、社会における児童の権利を守る犯罪であるという側面があります。そのため、児童の家族との示談が直ちに不起訴などにつながるわけではないとも考えられます。
しかし実際には、児童側との示談が成立することで起訴猶予が得られたケースもあり、検察官によっては、児童側と示談が成立した事実が重要視されることも少なくありません。
したがって、示談が可能であれば示談をするべきであると言えるでしょう。刑事事件の過程で示談を成立させることで、将来の民事トラブルも予防することができ、法的にも一石二鳥の効果を得ることができます。
Q 児童買春事件の示談金はどのくらい必要ですか?
示談は当事者の合意によるトラブル解決ですので、示談金も当事者が合意した金額で決定されることになります。
一口に児童買春と言っても、トラブル内容も様々で当事者の資力にも影響されるため、いくらであれば示談できるという決まりはありませんが、10~30万円程度で合意されることが多く見られます。
なお、確実に示談をしたい場合や児童側の感情が強い場合などでは、より高額の示談金を用意することになるケースもあります。
示談金の金額に納得がいかない場合は、弁護士を立てて対応することで、示談金の金額を低く抑えることができるケースも少なくありません。相手方から法外な解決金を要求されてお困りの方は、お気軽に弊所の24時間フリーダイヤル 0120-631-276までお電話ください。