被害届とは、被害事実を申告する書面をいいます。
被害を申告するという内容なので、主体は、被害者かその法定代理人です。
告訴状や告発状との違いは、告訴状は被害事実(犯罪事実)の申告に加えて犯人の処罰を求める意思表示も含んでいるのに対して、被害届は被害事実を申告するだけです。
したがって、告訴がなければ起訴できない事件(親告罪)について、被害届しか出されていないときは、その事件について起訴することはできません。
他方、もし書面の題名が「被害届」となっている場合でも、内容として「被害事実の申告」だけでなく「犯人の処罰を求める意思表示」まで含まれているときは、告訴状として扱うべきことになります。
このように、その書面の内容が被害届にとどまるか、それとも実質的に告訴状の内容まで含んでいるかは、書面の題名だけでなく、内容まで考慮して判断されます。