詐欺罪で実刑になるケース

新聞を騒がせた振り込め詐欺の容疑で逮捕され、うち１２件の罪で起訴されました。被害額の総額は６５００万円です。

私の役割は、いわゆる「かけ子」、つまり電話をかけて演じるプレイヤーの統括マネージャーでした。駅前のビルの１室が事務所で、毎日定時に出勤していました。タイムカードがあり、朝礼もありました。

私はその事務所で、「かけ子」の統括マネージャーとして、新人をマニュアルに沿って厳しく教育していました。詐欺に成功したときは、１日だけで１０００万円をあげる日もありました。私が分け前としてもらった額は、全部で２０００万円は下らないと思います。

ある日、事務所にいきなり警察官たちが乗り込んできて、「動くな。詐欺の容疑で逮捕する」と言われました。その後にわかったことですが、その前日に「出し子」が捕まり、そこから出し子側の責任者も捕まり、その人が事務所の場所を話してしまったようです。どの案件について逮捕されたのかわからなかったので、何を聞かれても黙秘をしていました。

勾留され、弁護人がついてから被疑事実を確認したところ、２か月前にした２００万円の詐欺が被疑事実でした。その後も別件の詐欺での逮捕が続き、最終的には１２件の罪で起訴されました。

捜査に協力すると仲間を売ることになるので、取り調べは最後まで一貫して黙秘で貫きました。裁判でも仲間を売るわけにはいかないので、できるだけ嘘をついて真実は分からないようにしようと思っています。

これまでに受け取った報酬は遊びや投資などで使ってしまっていたので、ほとんど残っていません。残ったお金も、出所した後の生活の資金に回そうと思うので、被害弁償は進めないよう弁護人に言ってあります。どの被害者の人も、私のことを許してくれていないと聞いています。