よくある刑事弁護士への相談の例
暴行罪で実刑になるケース
刑務所から出てきて間もなく、離婚したいと言ってきた妻を殴ってやりました。被害届を出そうとしたので、また殴ってやると、そのまま警察に逮捕されました。
妻はもともと取引先の会社の営業担当で、私より15歳ほど若いのですが、私が口説いて結婚までこぎつけました。妻が25歳、私が40歳の時に結婚しました。当時、私は会社を経営していましたが、資金繰りのストレスから覚せい剤に手を出してしまい、逮捕されたことで経営が一気に傾き、倒産しました。それからは妻とも口論が絶えず、それもストレスになって、さらに酒や薬に走りました。
その時にも、前回の覚せい剤使用の件で執行猶予中だったのに、また覚せい剤を使ってしまい、逮捕されて裁判になり、実刑になりました。3年間ほど服役し、ようやく出所した日に自宅へ戻りました。ところがその日のうちに、妻から「刑務所にいる間は可哀想だったから言えなかったけど、離婚しましょう」と切り出されました。もう私にはついていけないというのです。
私は、「せっかくお勤めを終えて出てきた夫への仕打ちがそれか」と、一気に憤激し、気づくと妻を叩いていました。妻は抵抗せず、しかし睨むような目で見てきたので、私はさらに逆上し、妻の髪をつかんで振り回し、家の外に追い出しました。その時、妻は部屋着のままで財布などは持っておらず、季節は冬でしたが、私は「これくらい辛い目にあった方が、俺の苦しみがよくわかるだろう」と思っていました。妻に思いやりの心を持たせるにはこれくらい痛い目を味わわせないと気づかないだろうと思ったのです。
妻はその晩、近くの交番へ駆け込んだようで、警察官が私の家にやってきました。私はそのことに対してまた腹がたち、平手で妻の頬を打ちました。すると、私はそのまま警察署に連れて行かれ、逮捕という扱いになりました。逮捕当初から一貫して、「私は悪くない、妻が悪い。あれくらいの暴力は必要なことだった」と主張しています。勾留もされてしまい、満期に暴行罪で起訴されました。
担当の検事は起訴猶予や罰金での処理も考えていたようですが、私は妻がいない娑婆にいても仕方がないと思い、検事に対して「罰金の同意書には絶対にサインしない」「釈放したらあいつを殺してやる。あいつが死んだらお前のせいだ。お前は殺人に協力したことになる」とさんざん悪態をついてやりました。
現在、妻は「もう一度刑務所に行って頭を冷やしてほしい」と、厳罰を希望しているようです。両親はすでに他界しており、兄弟などはいません。裁判でも、俺を実刑にしないと妻を殺すと、裁判官に悪態をついてやろうと思っています。
刑事弁護士からの一行回答
暴行罪のように比較的軽い犯罪でも、前科や刑務所への入所経歴が考慮されて、刑事裁判になる場合があります。本件のように出所後間がない犯罪では、執行猶予を付すことができないため、懲役刑を求刑されれば、そのまま実刑判決が下され、刑務所に収監される可能性が極めて高いです。
刑事事件の弁護士に事件を相談すれば、ご相談者の暴行事件に関連して、「実刑になる可能性はどれくらい?」「実刑になった場合は、執行猶予の場合とどう異なる?」「実刑判決後の手続きは?」といった疑問や不安を解消することができます。