よくある刑事弁護士への相談の例
窃盗罪で実刑になるケース
万引きをして執行猶予判決になった3日後に、また万引きをして警察に逮捕されてしまいました。
これまでの万引きでは、十分買えるだけのお金を持っていくものの、いざ品物を前にするとお金が惜しくなって、魔が差してくすねてしまっていました。そんなふうに万引きを繰り返して、前科は3つに上ります。罰金前科が30万円と50万円で、この間受けた前科が懲役1年・執行猶予3年でした。
今回の万引きは、その判決の3日後にまたやってしまったのです。その日は食品や日用品を買いにスーパーへ行ったのですが、同時に、「ひょっとしたらまた欲しくなるかも」と思って、かなり大きめのトートバッグを持っていきました。「万引きしたくなっても我慢しなければ」という気持ちは、恥ずかしながら湧かなかったのです。
スーパーの売り場を回っていると、コーナーの一角が防犯カメラもなく、店員の目も及んでいないことに気づいたのです。「あそこなら人目につかずに隠せるかもしれない」と思って、めぼしい商品を持ったままそのコーナーへ行き、バッグへ隠しました。予想どおり誰の目にもつかずにできたので、気が大きくなって、何回も同じ作業を繰り返しました。バッグの中に隠した商品は、合計で27点・総額5万円超に上るそうです。レジでお金を払った商品の値段は、合計1500円でした。
バッグの中に隠したまま店を出たところで、警備員に「ちょっといいですか」と声をかけられました。「まずい」と思って逃げ出しましたが、追い付かれて捕まってしまいました。追いつかれた時にかなり抵抗したので、警備員には怖い思いをさせたと思います。前回と同じお店で万引きをしたので、店長の方も「今度こそは厳罰を希望する」と述べているそうです。
私は現在、無職で、お金もないので、ここで釈放されてもまた万引きをしてしまうと思い、ずっと留置場で生活しています。両親は愛想をつかして、前回の裁判の時も出廷してくれませんでした。今回の裁判でも、誰も監督者として出廷してくれません。
また、結局は使わなかったですが、警備員に捕まった時に備えてスプレーを鞄の中に入れていました。この点も検事からはかなり問題視されています。
私がこうなってしまったのも、すべて社会のせいだと思います。裁判では、「こういう私のような万引き犯を生み出したのは社会のせいだ。謝る必要があるのは、役所や福祉の担当者で、むしろ私は賠償してもらいたいくらいだ」と社会の理不尽を糾弾してやろうと思っています。私は何も悪くありません。
刑事弁護士からの一行回答
万引きのような比較的軽い犯罪でも、ケースによっては、起訴され刑事裁判になります。刑事裁判では、検事から懲役刑を求刑されるのが通常です。
本件のように、「執行猶予判決の3日後の犯行であること」「被害額が5万円と多額であること」「万引きが見つかった場合に備えてスプレーを持ち歩くなど悪質で計画的であること」「自分の非を認めず、不合理な弁解を繰り返していること」「監督者がおらず、再犯の可能性が高いこと」「被害者が厳罰を希望していること」等の事情が認められる場合は、実刑判決が下され、刑務所に収監されることになるでしょう。
ただ、執行猶予中の万引き犯でも、ケースによっては「再度の執行猶予」が付く可能性が残されている場合もあります。