よくある刑事弁護士への相談の例
金融商品取引名目の詐欺、もうかります詐欺で検挙された。
大学院に通っている息子が、詐欺罪の容疑で警察に逮捕されました。その件で、弁護士さんに事件を依頼したいと考えています。
息子は経済学部の大学院に通っており、1人暮らしをしています。今朝、警察から電話があり、息子が詐欺罪で逮捕されたと知らされました。容疑の内容はわかっていませんが、息子は容疑を否認しているそうです。「あなたのお子さんは当面帰れない。長く留置されるかもしれない」と警察は言っていました。
その後、当番弁護士で息子と会ってきたという先生から電話をもらいました。それによると、息子は詐欺グループの一員として逮捕されたようです。グループが行っていた詐欺は、株式会社のパンフレットを送付した後で、別の会社を名乗って電話をし、「パンフレットは届きましたでしょうか。その会社の株は有望で値上がり確実です」などと言って信じ込ませ、金銭をだまし取るというものだそうです。
息子は、このうちパンフレットを送付する作業を行っていたようです。経済学部の先輩から紹介されたアルバイトで、「上司から指示されるとおりにパンフレットを送付していただけで、詐欺の一環だとは思わなかった」と話しているそうです。
親としても息子を信じていますし、早く元の生活に戻してあげたいです。弁護士に依頼すれば、どんなことをしてもらえるでしょうか?
刑事弁護士からの一行回答
刑事弁護士に事件を依頼すれば、金融商品取引名目の「もうかります詐欺」でご子息が検挙された件に関して、ご子息に対する刑罰と身体拘束が少しでも軽くなるように、最善を尽くした弁護活動を受けることができます。
詐欺グループの末端で働いていた者に詐欺罪が成立するか否かは、他のメンバーとの間に共謀が成立するか否かにかかっています。当番弁護士からの報告によると、ご子息は「詐欺の一環だとは思わなかった」と主張しているようですが、その主張が認められるかは分かりません。
詐欺罪の成否の検討にあたっては、「客観的に見ても詐欺の一環だとは到底思えない環境で働いていたのか?」「周りの状況から見て容易に詐欺の一環だと推認できる状態にいたのではないか?」「単に罪を逃れるために言い訳をしているだけではないのか?」など、その主張の合理性を慎重に確認する必要があります。
状況証拠に反する不合理な主張を続けていると、裁判官から「反省していない。」と認定されてしまうおそれがあります。刑事手続きでは、捜査段階で話したことは、「調書」に書面化され、のちの刑事裁判で証拠として使われます。そのため、刑事裁判でご子息に有利な判決を得るためには、裁判になる前の捜査の段階から、ベストな調書を作成しておく必要があります。
ご子息があくまで「詐欺の一環だとは思わなかった」と主張する場合は、刑事弁護人としては、まずは不起訴処分の獲得を目指す弁護活動を進めることになります。