よくある刑事弁護士への相談の例
「税金の還付」詐欺で検挙された。
私は、比較的大規模な詐欺グループで「税金を還付します」という詐欺をして逮捕されました。私は「かけ子」を担う何人かの中でも、最初に電話をかける役割をしていました。
具体的な流れを説明しますと、年末調整や確定申告の時期に、「X税務署ですが、納付済み税額の減額によって還付金が発生しましたので、その返却の手続きを進めております」と電話をかけます。そして、相手に考える暇を与えずに、「出納の担当に回しますのでこちらの番号へおかけ直し下さい」と、グループの電話にかけ直すよう指示するのです。
こうして別の番号に電話がかかってくると、別のメンバーが出て、「通常の手続きでは受け取るまでに日数が掛かりますが、ATMを介して手数料をお振込みいただく方法であれば即日受け取れます」と説明します。すぐにはお金が必要ないという相手には、「もうすぐ期限が過ぎて還付を受ける権利が失効してしまいます」と言うことで、手数料を振り込ませるのです。
私のグループでは、1日に200万円を「売り上げる」ことがノルマでした。それに達するまで、私もひたすら電話をかけまくりました。
稼いだ週は、報酬として1週間で200万円ももらったことがありました。これまでにもらった報酬は、合計3000万円以上はあると思います。
今回、相手に伝えた電話番号から足がついて逮捕されました。私の上にいた現場責任者はまだ捕まっていないので、いまはとりあえず、渡されていたマニュアルどおり黙秘しています。
今後の取り調べの対応などについて知りたいのですが、弁護士に相談すれば答えてもらえますか?
刑事弁護士からの一行回答
刑事弁護士に相談すれば、ご相談者の税金還付詐欺に関して、取り調べでどう答えるべきか、取り調べで黙秘を続けるとどういうメリット・デメリットがあるかなど、ご相談者が知りたい事項について的確なアドバイスを受けることができます。
グループで税金の還付を謳う詐欺をした場合、捜査はかなりの期間、長引くことが予想されます。この種の事件では、一度関係者が逮捕されると、その者の供述から次々と余罪が立件され、再逮捕が繰り返されることが多いからです。
また、単発の詐欺事件であれば、その事件に関して起訴が終われば、直後に保釈を請求できるのですが、この種の組織的詐欺事件では、起訴の後も再逮捕や追起訴が予定されていることが多く、保釈を請求しても意味がありません(保釈請求が却下されるか、万が一認められても、その直後に再逮捕されてしまいます)。
そもそも、保釈の請求自体が、「関係者が複数存在して釈放すれば罪証隠滅を行うおそれがある」として、基本的には認められません。
ご相談者は、今回の税金還付金詐欺で、「報酬として1週間で200万円ももらったことがあった。これまでにもらった報酬は合計3000万円以上あると思う」ということなので、この事実が認定されてしまうと、「組織的詐欺に積極的に関与した者」として、かなり重たい刑罰が課せられる可能性が高いです。
もちろん、弁護士を立てれば、捜査の対応や減刑のための方策について、相談をし、対策を立てることができます。ただ、本件のような組織的詐欺事件に関しては、事案が複雑で手続きの流れが読みにくいため、同種の事件を多く取り扱ったことのある刑事弁護士に弁護を依頼するのがベストです。一度、間違ったアドバイスに基いて行動してしまうと、後からは取り返しがつかないこと多く、危険です。
この点、私たちの事務所であれば、全国の特殊詐欺事件の刑事弁護活動を、データベースで一元管理しているため、どのような詐欺事件でも的確に対応することができます。一度、個別具体的な案件があれば、是非ご相談ください。