よくある刑事弁護士への相談の例
詐欺罪で執行猶予になるケース
振り込め詐欺の「受け子」のアルバイトを申し込んで受け取りに行ったら、詐欺だとばれていて捕まり、詐欺未遂罪で起訴されてしまいました。
今から2か月ほど前、勤めていた会社が倒産して無職になりました。まだ20代なので貯金もなく、間もなく貯金が底をついて生活費に事欠くようになってしまいました。そんな時、インターネットで「荷物受け取りのアルバイト、日当1万」という求人を見たので申し込みました。事前に何の研修も説明もなく、当日になって現場責任者から、「荷物を受け取りに行くのが仕事だ」と説明されただけでした。
スーツを着て偽名を名乗って荷物を受け取るというので、ぼんやりと「何か振り込め詐欺的な犯罪が絡んでいるんじゃないか」とは思いましたが、当座の生活費を手に入れるためには仕方ないと思い、言われた通りに指示に従いました。
最初に受け取りにいった家で、出てきたお婆さんに「荷物を受け取りに来ました」と言ったら、いきなり警察官が来て取り押さえられました。荷物も受け取っていないし、当然、1万円の日当ももらっていないうちに逮捕されてしまったのです。
逮捕されたことで「やっぱり犯罪だったんだ」と気づき、「被害者のお婆さんには怖い思いをさせてしまった」と申し訳ない気持ちになりました。自分の甘さを反省し、取り調べではありのままに自白しています。捜査にも協力しようと思い、現場責任者の情報なども覚えている限り話し、それが決め手になって詐欺グループが摘発されたと聞いています。
被害者のお婆さんは、「お金も取られていないし、色々とお辛い事情があったみたいだから、処罰は望みません」と許してくれたと弁護人から聞いています。
今後は1人暮らしの部屋を引き払って実家に戻り、両親と同居します。職を探して、生活を安定させていくつもりです。父は地方公務員として働いていますが、母が主婦をしており、今後の生活の監督を約束してくれています。
刑事弁護士からの一行回答
詐欺罪には法律上、罰金刑が規定されていないため、起訴された場合は、略式罰金の手続きではなく、正式裁判で懲役刑が求刑されることになります。
この点、近年は、一般予防の観点から、振り込め詐欺犯に対する厳罰化の傾向が著しいです。初犯であっても、数年の刑務所送りになることは珍しくありません。
ただ、本件の様に、「犯行の役割が組織の末端だった」「未遂のため被害が生じていない」「罪を認めて反省している」「捜査に協力して犯罪組織の検挙に貢献している」「被害者が被告人のことを許している」「同居の家族が今後の監督を約束している」等の事情があれば、高い確率で執行猶予判決になることが見込まれます。
その他、私たちが主催する弁護士相談会では、ご相談者の詐欺事件に関連して、「詐欺罪の執行猶予と前科の関係」「詐欺罪の執行猶予中に交通事故を起こした場合」「詐欺罪の執行猶予中に海外旅行はできるのか」といった疑問を解消することができます。