よくある刑事弁護士への相談の例
大阪駅で酔っ払って起こした傷害事件を示談で解決したい。
駅でトラブルを起こし、通行人を殴って怪我を負わせてしまいました。かなりの重傷かもしれません。その事件について相談させてください。
事件は、3月末に会社で歓送迎会があり参加したときの話です。歓送迎会が終わって、数人で「もう一軒いくか。」ともりあがり、大阪駅から数人で電車に乗ろうとしていたところ、反対側から数人の集団がやってきて、私の肩と相手の肩がぶつかりました。
肩がぶつかったのは、40代くらいのサラリーマン風の男性でした。私は「すみません」と軽く謝ったのですが、相手は「ちぇっ」と舌打ちをしてこちらを睨んできたので、私もぐっと目に力を入れて睨み返しました。
その後はよく覚えていないのですが、何か「バカじゃないの」「バカかお前は」的な、聞き慣れない東京弁でおちょくられたので、私はカッとなってキレてしまい、相手の顔面を右手の拳で思いっきり殴っていました。私は学生時代に空手をしていたこともあり、今までは絶対に素人と殴ったことなどないのですが、この時は酒に酔っていたこともあり、自分を制御できなかったのです。
私に殴られた相手は、そのまま後に倒れ、地面のコンクリートに「ガっ」という鈍い音を立てて頭を打ち付け、倒れこんでしまいました。私はやばいことをしてしまったと思い、急いでその場を立ち去ったのですが、一緒にいた同僚たちはその場に残って、その男性を介護してくれたそうです。
翌日、同僚から聞いた話によると、その男性は意識朦朧としていて、そのまま救急車に乗って救急病院に運ばれたとのことです。現場には駅員と警察官も来て、同僚は私の名前を警察官に伝えたと言っていました。
警察官は、数名で現場の写真を撮ったり、メジャーで通路の幅を測ったりしていたらしく、同僚の中で一番年上だった一人は近くの署まで連行され、色々と調書を取られたと言っていました。
相手の男性は重傷を負っている可能性がありますが、この様な場合でも示談で事件を解決することはできますか?私はこの後、どうなってしまうのでしょう?
刑事弁護士からの一行回答
刑事弁護士を立てて対応すれば、今回の大阪駅での傷害事件に関連して、相手方との示談をスムーズに進めることができます。刑事弁護士であれば、相手方の連絡先を知ることができるケースが多いからです。
本件の場合、ご相談者は後日、通常逮捕されてしまう可能性が高いです。意識朦朧としていた被害者は脳挫傷等の重傷を負っている可能性が高く、また、ご相談者は、被害者に対し救護措置等を講じることなく、犯行の現場を逃走しているからです。
被疑者のケガがかなりの重たいケースでは、仮に示談が成立しても、不起訴処分にはならない場合が多いです。もっとも、その場合でも、示談が成立したことは、後の刑事処分の決定に際して、ご相談者に有利に作用します。
相手方のけがが重たい場合は、ご相談者が初犯でも、刑事裁判で実刑の判決(刑務所行きの判決)が下されるおそれがあります。無事に示談が成立していれば、この様なケースでも、執行猶予になる可能性が高まります。
なお、「実際はあまり重たいけがではなかった」等、後日判明した傷害の程度によっては、ご相談者のケースでも、略式罰金や不起訴処分で終わる可能性が残されています。
いずれにせよ、ご相談者には、被害者に対する民事の賠償責任が生じます。そのため、刑事手続きの中で示談の話し合いを進めてしまう方が、民事事件と刑事事件を一緒に解決することができるという観点からも好ましいです。