ここでは、自動車に関する刑事事件にはどのようなものがあるかについて見てみましょう。
自動車に関係する刑事事件のうち代表的なものは、次のように整理できます。
自動車に関する事故は、人身事故と物損事故とに分けられます。
(1)人身事故
◆故意があったとき・・・危険運転致死傷罪または傷害罪、傷害致死罪となります。
「危険運転」に当たるかどうかは、自動車運転死傷行為処罰法に列挙された危険運転の類型に該当するかどうかによります。
◆故意がなく過失であったとき・・・自動車運転過失致死傷罪となります。
法定刑は、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金です。
◆人身事故の後警察への報告等をしなかった(いわゆるひき逃げ)とき・・・道路交通法の報告義務違反等の罪になります。
(2)物損事故
物損事故を起こしたことそれ自体は、故意に事故を起こしたときに器物損壊罪となることを除けば、犯罪とはなりません。
もっとも、物損事故を起こした後、道路上の危険を防止する措置を講じなかったり、警察への報告をしなかったりした(いわゆる当て逃げ)ときは、道路交通法の報告義務違反等の罪になります。
また、飲酒運転(酒気帯び、酒酔い)をした場合や無免許運転をした場合も、道路交通法違反の罪になります。