刑事事件の罪は、どのように決まるでしょうか。
現在の裁判所では、罪の重さは、「犯罪行為それ自体の責任によって定める」という考え方が取られています。
つまり、犯行態様の危険性・悪質性、結果の重大性、動機の悪質性を軸とし、さらに同種前科の有無・個数や被害者の感情なども考慮しながら、量刑の重さ・軽さを決めるのです。
この考え方の枠組みを、「行為責任主義」といいます。
ここで重要なのは、行為責任主義の考え方においては、量刑について「再犯の可能性」や「被害者の処罰感情」といったものを中心に据えるのではなく、あくまで、「その事件の」犯行態様、結果、動機等を中心に据えるということです。
これは、刑罰の根本にある考え方が、「矯正」や「教育」ではなく「応報」にあると考えられているからです。
したがって、たとえばあなたに前科・前歴がなく、その点での再犯可能性が低い事案であっても、今回の犯行で人を殺害していれば(殺人罪)、基本的には執行猶予は期待できず、実刑になるのが通例です。